歴史書『日本外史』の著者として知られる頼山陽(1780~1832)が青少年期を過ごした広島城下杉ノ木小路の広島頼家に伝来した資料(杉ノ木資料)には、山陽の母梅颸が書き残した「梅颸日記」をはじめ、頼家の家庭生活を具体的に伝える資料が数多く残され、大切に伝えられてきました。
その資料をひもといていくと、「病」に向き合う頼家の人々の姿が鮮明に浮かび上がってきます。また、竹原春風館に伝来する資料の中には、医師であった頼春風(頼山陽の叔父)・小園(春風の養嗣子)・来洲(小園の子)が残した多くの医学関係資料があり、彼らが医師として地域医療に尽力していたことを今に伝えています。
本展では、杉ノ木資料や竹原春風館伝来の医学関係資料を中心に、江戸時代後期から幕末にかけての広島の医学史を辿るとともに頼家の家庭生活から浮かび上がってくる江戸時代の医療の実際を紹介し、当時の人々が病とどう向き合っていたかに迫っていきます。
概要
開催期間:
平成28年10月14日(金)~12月4日(日)
※月曜休館(ただし祝日は開館)
開館時間:
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
作品紹介
「神験丹」 頼山陽史跡資料館蔵(杉ノ木資料)
広島頼家に伝わった丸薬。紙袋に腹痛・下痢・宿酔・瘧などに効能ありと記されています。
「梅颸日記」寛政11年(1799) 10月 頼山陽史跡資料館(杉ノ木資料)
幼い頃から病弱であった頼山陽は、しばしば灸治を受けていました。その灸治は苦痛だったのでしょう。
10月21日の記述にはいやがる久太郎(山陽)に「灸治むりやりニスヘル」を書かれています。よほど身体に応えたのか、次の日には「久太郎灸アタリ由ニて終日ねる」とあります。
「喀血歌」草稿 頼山陽書 天保3年(1832) 個人蔵
天保3年6月12日、労咳(結核)を患い喀血した頼山陽が、それを詩に詠んだのが「喀血歌」です。
この作品は、その草稿です。
入館料
一般 300円(団体240円)
65歳以上 240円
小中高生 150円(団体120円)
※団体は15名以上
関連イベント
◆展示解説会
日時:
【第1回】 10月29日(土) 13:30~
【第2回】 11月5日(土) 13:30~
【第3回】 11月19日(土) 13:30~
会場:
頼山陽史跡資料館 特別展展示室
※特別展の入館料が必要です
◆文化講演会
日時:
11月3日(祝) 14:00~
会場:
ウェンディひとまちプラザ(広島市まちづくり市民交流プラザ)
6階 マルチメディアスタジオ
演題:
「医師頼春風の足跡」
講師:
松岡尚則(東邦大学客員講師・公益財団法人研医会研究員・日本医史学会会員)
※参加無料、事前申込が必要です