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第5回広島県公募書道展「頼山陽書道展」入賞作品

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作品  審査評

頼山陽賞

1

三次市立和田小学校 六年
森木 唯依さん

頼山陽賞というすばらしい賞をいただき、ありがとうございました。「真」は一文字なので、細く書いてしまうと余白が多くなってしまい難しかったです。だから、筆全体を使って太く書くことを意識しました。また、一番最後の画の角度や形、長さにも気をつけました。もっと上手に書けるようにこれからも努力していきたいです。

 

広島県教育委員会賞

2

熊野町立熊野東中学校 三年
田村 有莉咲さん

この度は広島県教育委員会賞というすばらしい賞をいただき誠にありがとうございました。
私は「浩然之気」という字を書きました。四文字のバランスが取りにくく、また柔らかい線と勢いのある線との強弱を付けることが難しかったです。でも、練習していく内に字形が整い、上達していくことができ良かったです。これからも書道と真剣に向き合い、自分の字を磨いていけるように頑張ります。

 

広島市教育委員会賞

3

呉市立呉中央小学校 五年
伊東 琥子さん

この度は、すばらしい賞をいただき、本当にありがとうございました。
私は、作品をつくるときは、ことばをよく分かって書きたいので、頼山陽や「忠孝」について調べました。それで、強く明るく美しいイメージを持ちました。頼山陽が、強い意志で行動し、美しいものを愛したからです。
始めのうちは、イメージより重たくなりがちだったけど、だんだん白が生かせるようになりました。納得するまで書きました。

 

福山市教育委員会賞

4

広島市立亀山南小学校 六年
中西 智春さん

「忠孝」という作品を仕上げるために、しめ切りまで、たくさん練習しました。
忠の四画目の払い方や、心の筆づかいを練習しました。最後の点まで、ていねいに書きました。孝は、特に左払いを練習しました。子の場所や、やわらかさも練習しました。
このような素晴らしい賞をいただけて、本当に嬉しいです。これからも、努力を重ねます。

 

熊野町教育委員会賞

5

熊野町立熊野東中学校 二年
實森 葵さん

今回、このような賞をいただき、ありがとうございます。
私が「山紫水明」を書く時に気をつけたことは、線をやわらかく行書で書くことです。私は行書が苦手なので水という漢字の時など苦戦しましたが最後には自分が納得のいける書が書けました。
今後も苦手の行書も得意になれるよう、日々書道にはげみたいです。

 

特選

6

広島県立福山葦陽高等学校 二年
東 美穂さん

この度は、特選をいただきありがとうございました。
高校入学時は、行書・楷書の臨書を行っていましたが、帛書の造形のおもしろさに魅了され、日々練習に励んでいます。
「題不識庵撃機山図」という作品で帛書の創作に初挑戦しました。謙信の静かに燃やす闘志を線の力強さ、収筆の鋭さで表現しました。筆の動かす速さや筆圧の具合など試行錯誤しながら書き上げました。
これからも、練習を重ね、悔いが残らない作品を書きたいです。

 

7

広島市立亀山中学校 三年
礒川 かえでさん

この度は、「特選」に選んでいただきありがとうございました。
今回の「浩然之気」という課題で、私は文字の大きさのバランスやつながりに苦戦しました。一文字目の「浩」からうまくいかないことも多かったけど、何枚も書き続けることで上手くいくようになりました。また、私は線の太さで躍動感がある作品になるように頑張りました。
これからも、書道を頑張りたいです。

 

8

三次市立和田小学校 六年
石原 穂花さん

この度は、特選に選んでいただきありがとうございます。
私は「真」という字を書く時に、一文字なので大きく太く書くことに気をつけて書きました。バランスをとるのは、むずかしかったですが、きれいに書くことができてよかったです。
これからもよい作品が書けるようにがんばっていきたいと思います。

 

奨励賞

9

国立広島大学附属高等学校 二年
藤原 美穂さん

この度は奨励賞に選んでいただき、ありがとうございます。
この詩は、頼山陽の母を想う気持ちが表現されていることから、行書で書くことにしました。文字の大小や線の強弱や字形、くずし方を意識して書きました。墨をつぐ場所は最後まで悩みましたが、作品全体のバランスや、詩の意味や切れ目を考慮して決めました。
書とじっくり向きあい、自分が納得する作品を仕上げていきたいです。

 

10

広島文教大学附属高等学校 二年
東 樹那さん

この書を臨書する際、私は線の変化に気をつけました。普段使っている筆より、毛の柔らかい筆でかすれる線と潤った線を出すことが難しかったです。筆を動かす速さで、表現が変わってしまうため字を書く速さを丁寧にゆっくり書くように心がけました。

 
11

広島新庄高等学校 二年
川口 愛絵さん

「外史脱稿戯作」を臨書しました。練習期間が短く、良い作品が出来るか不安でしたが自分で納得のいく作品を仕上げることが出来ました。また、この作品を仕上げる過程を通して、文字の大きさの違いや、隣の行との関わりなど、さまざまな事を学ぶことが出来ました。

 

12

広島県立高陽高等学校 三年
上田 咲李さん

今回、「不識庵機山を撃つの図に題す」を楷書で書かせて頂きました。この作品を書く上で一番意識したことは、一つ一つの字のバランスです。一文字だけ右に寄ってしまったり、画数が多い字は大きく見えて統一感がないように見えてしまったりと、とても苦労しました。ですが、何度も書いて自分でも納得のいくような作品が書けてよかったです。
この度は、奨励賞という素晴らしい賞を頂きありがとうございました。

 

13

広島市立亀山中学校 三年
松田 夏々実さん

浩然之気とは、天地間に充満している至大至剛の元気のことです。私は、この意味を理解し、文字が生き生きと明るく元気に見えるように書くことを頑張りました。特に頑張った字は「気」です。ハネから勢いが伝わるように書きました。全体のバランスも意識しました。
これからも、美しい字が書けるように精進して参ります。

 

 

14

広島市立亀山中学校 三年
上川 友莉さん

私は、「山紫水明」と書きました。
「山紫水明」には自然の景色が清らかで美しいことという意味があるので書くときにその景色を思い浮べながらのびのびと書きました。四文字のバランスを整えて書くことが難しかったです。「紫」という字の四画目から五画目のつながりや全体のバランスを整えて書くことを意識しました。
これからも、楽しく色々な文字を書いていきたいです。

 

15

広島市立亀山中学校 三年
田村 陽奈さん

この度は奨励賞をいただきありがとうございます。私は、この作品を書くために何度も練習を重ね、たくさんのことを学ぶことができました。私が一番気を付けたことは四文字のバランスです。最初は上手く書けず、とても苦労しましたが、自分の気に入った作品ができた時は大きな達成感を感じることができました。これからも自信を持って楽しく習字を書いていきたいと思います。

 

16

広島市立亀山南小学校 六年
山﨑 美晴さん

私は、去年「忠孝」と書きました。その時は二文字を書いたので小さくバランス良く書く事を目指したのですが、今年書いた「真」は、一つの漢字を堂々と書くのを目指していたのでとても難しかったです。とくに大変だった事は、「真」の八画目の線が思いどおりにならなかった事です。のびのびとふくらんだ線が書きたかったのですが、どうしてもまっすぐになってしまいました。時間をかけて、練習してきて良かったです。

 

17

広島市立亀山南小学校 六年
是田 真央さん

私は、「忠孝」を書きました。一画、一画ていねいに書きました。その結果が出て、とてもうれしかったです。また、一番、難しかった字は、「孝」です。「孝」の、子どもの子のバランスをとるのが難しかったです。中心からの、きょりを考えながら、のびやかに、まとめる事ができて、うれしかったです。これからも、努力し、いろいろな賞を、取っていきたいと思いました。

 

18

広島市立幟町小学校 六年
山本 称大さん

この度は、浅野氏入城400年の記念の年に、このような素晴らしい賞をいただきありがとうございます。
「真」という漢字は、最初書くのは簡単だと思っていましたが、いざ書いてみると難しかったです。横線が多いので、線と線の間かくをそろえることと、メリハリのある字になるよう心を込めて書きました。これからも良い作品が書けるよう書道に励んでいきたいと思っています。

 

審査評

広島文教大学
名誉教授 日比野 貞勝 先生

第五回広島県公募書道展「頼山陽書道展」に応募され、ご入賞、ご入選されました皆様、おめでとうございます。応募された作品はどれも頼山陽の詩・句をもとに創意と工夫が凝らされており、臨書課題においても頼山陽の技と心に学び迫る力作でした。審査は筆使いによる美しさや力強さの甲乙は無論ですが、情感の充実度、心境や境地の崇高さという筆意も併せて評価しています。上位作品は夫々にレベルが高く、甲乙の判定には苦慮しました。賞に選ばれた作品は、“心手合一”“心手双暢”という孫過庭『書譜』の句や、「字の形に魂を入れるのは筆の勢いである。筆の勢いのもとは心である」と尊円親王『入木抄』のいうように、技と心が一になって生き生きと運筆された一作一作で、見ごたえも十分な秀作です。以下、入賞作品に寸評を記し審査評とします。

「頼山陽賞」となった、森木唯依さんの「真」は力強い心意気と磨かれた筆使いとが合体した傑作。点画には澄み切った真剣な気持ちが溢れ、組み立て方には大きな気構えが見て取れます。特に端正な起筆や迷いのない運筆、整然とした紙面構成が見事です。姿勢の良さや集中力、美しい感性が凝縮した作品です。

「広島県教育委員会賞」となった、田村有莉咲さんの「浩然之気」は抑揚豊かで脈々とした運筆、巧みな用筆法、さらに大きな気宇、秀潤にして芯のある筆致など、非の打ちどころがない傑作。また余白にも目が注がれており、黒い文字と余白とが調和して大変に美しい。修練と美意識の賜と見ます。

「広島市教育委員会賞」となった、伊東琥子さんの「忠孝」は気構えや姿勢、集中力がよほど良いのでしょう。秀潤な筆致と実直な筆勢とが一になった見事な作品です。生き生きとした点画、完璧な組み立て方(一字の構成も全体構成も)、充実した余白、どこから見ても素晴らしい出来ばえです。

「福山市教育委員会賞」となった、中西智春さんの「忠孝」は気力や意志そして集中力が反映した筆法で見事な傑作です。特に「忠」の心の部分は見事で、先達が古来名作に評してきた「意在筆前、然後作字」という句を連想させます。“心手双暢”字の形に魂が宿った素晴らしい作品です。

「熊野町教育委員会賞」となった、實森 葵さんの「山紫水明」は書き出しから落款まで大きな気宇と豊かな情感で、句意をも想起させる清々とした秀作。特に起筆や結構、そして全体構成が見事。また余白が充実しており、文字の生気と照応して大変に美しい。じっくり味わえる秀作です。

「特選」となった、東 美穂さんの「題不識庵撃機山図」は漢簡の書法で作品化した秀作。特に起筆部における逆鋒と、送・収筆部の生気が一体となっていることと直筆による沈潜度の深さは上々で、統一感と緊張感を醸している。詩意にも相応する筆勢で、音や光、謙信の遺恨など想起できる作品です。
礒川かえでさんの「浩然之気」は重厚にして秀潤、躍動感あふれる秀作。統一感と同時に泰然感もある筆使いで立派。余程の修練によるものと思います。書き出しから落款まで情意を尽くして書かれており、余白との照応、調和も見事。壮大で大変に美しい作品です。
石原穂花さんの「真」は一点一画の確かな筆使いの上手さと、第一筆目から名前まで一心不乱、隙のない筆運びが秀逸。気構えや姿勢・集中力の良さも見えます。特に「真」の頭部と脚部の筆致・筆勢には目を瞠るものがあります。バランスもよい素晴らしい書きぶりです。

「奨励賞」となった、藤原美穂さんの作品は懸腕直筆による線質と、気脈の貫通による軸が抜群。所謂表現のための術、小技などに頼らない書境の美が見て取れます。衒いのない線質、小気味の良い点画、清澄な筆脈などが味わい深い。
東 樹那さんの作品は用筆法・運筆法にレベルの高さが見て取れます。特に意の溢れる起筆や、豊かな抑揚と大きな気宇の運筆は見事で、詩意の雄大な勝景や心情を連想できる秀作です。優美さと緊張感が横溢しています。
川口愛絵さんの作品は確かな用筆法・運筆法で線質や結構に安定感が見て取れます。特に気力の充実した起筆や、運腕は山陽の筆意や筆法に連なる秀臨です。線の強さと気脈の貫通で溌剌としています。
上田咲李さんの作品は端正な筆使いで線質が清澄、また書き出しから落款まで意が連なっており秀作。特に二行目の気力と筆勢は見事で、詩意にも通じます。一般に楷書の条幅作品は地味で避ける傾向がありますが、この調子でさらに究めていってください。
同じく「奨励賞」の松田夏々実さんの作品は大きな気宇と颯爽とした運筆とが一になった秀作。特に「浩」「気」字には一点の隙もなく、溌剌とした書きぶりで余韻も豊か。落款も見事で、統一生動感が抜群です。
上川友莉さんの作品は実直で端正。一点一画、文字や全体の構成にも筆法の良さが溢れています。実に気持ちの良い作品です。特に「山紫」は見ごたえ充分の筆使い、心と手が一になって伸びやかに書かれた証です。
田村陽奈さんの作品は実に端正な秀作。特に「山」「水明」には確かな筆法と気脈が見て取れます。無理・無駄のない静かな淡々とした風趣の作。「明」字に躍動感の兆しが見えます。次は躍動感にも挑んで表現の幅を拡げてみましょう。
同じく「奨励賞」の山﨑美晴さんの作品は姿勢や気構えが良いのでしょう。強く美しい一画一画です。生き生きと最後までバランス良く書けており、心意気の溢れたすばらしい力作です。
是田真央さんの作品は集中力と構成力が優っているのでしょう。書き出しから名前までの気力が途切れず、強く美しい線で書けています。生き生きとしたすばらしい力作です。
山本称大さんの作品は落ち着いた粘りのあるすばらしい一画一画です。全体の構成やバランスも優れています。余白も美しく堂々とした力作です。平素の努力や姿勢・気構えの良さの賜でしょう。

その他、入選作にも優れたところが多々ありましたが、紙面の都合で省略します。頼山陽は詩や文章で一家を成した大先達ですが、書道においてもナンバーワンの大家でした。特にその書は詩文の境地と一体になった骨法・用筆と、颯爽たる気迫や真情・風韻、美しさに特徴があります。その背後には、驚くべき創意と工夫、吟味、思索があります。文学、学問によって鍛え上げられた人間の厚みがあります。頼山陽の足跡をたどり、倣い、さらに研鑽を積んで、また来年度も挑戦してください。

 

安田女子大学 文学部書道学科
教授 信廣 友江 先生

第五回広島県公募書道展「頼山陽書道展」においてご入賞、ご入選された皆様、おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
第四回展に引き続き、今回も心のこもった作品の数々が寄せられました。審査にあたって、出品作品は広い体育館に間隔をあけて丁寧に並べられ、私たちはまず一点一点をゆっくりと鑑賞していきました。どの作品も頼山陽に真正面から向き合う真摯なもので、皆さんが学書を通してごく自然に山陽への理解を深めている姿が伝わってきました。とても清々しい審査会でした。
さて、このように優れた作品群から入賞作を決めていくのは至難のことでした。私たちは時間をかけて何度も作品を見直し、確認を重ねて、最終的に特別賞五点、特選三点、奨励賞十点を選出しました。選ばれた作品はいずれも用筆、線質、文字構成、紙面への収め方などのすべてにおいて、練度の高いものであったと思います。
続いて部門別に感想を述べていきます。

小学生部門は「真」「忠孝」が課題でした。二語ともに含蓄のあるよい言葉ですが、文字として収めるにはなかなかバランスがとりにくい課題でもありました。きっと皆さんは全体を見通しつつ点画の組立てをよく考え、一画一画を丁寧に書き進めていかれたのではないでしょうか。うまくまとめるにはさらに次から次へとつながる線の流れも大切になってきます。そのためのより高度な筆づかいの練習も必要になってきたことでしょう。そうして積み重ねた努力の結果が、勢いのある生き生きした作品の制作につながりました。ここで習得した文字表現の基礎力を、どうぞこれからの書写学習に生かしていってください。

中学生部門は「山紫水明」「浩然之気」が課題でした。二課題ともに画数の多寡があり、全体を調和させるために様々な工夫が必要だったと思いますが、長半紙への一行書きはいずれも四字を堂々とゆったり収め、且つのびやかに書き上げられていました。行書作においては、その技法を十分に会得した作品が少なくなかったことも印象的です。こうした表現領域の広がり、また大きな用紙への揮毫は創作意欲をも増してくれます。本課題で書作の楽しさを体験した人も多かったのではないでしょうか。そうであれば大変にうれしいことです。技法面では「水」の最終画、「之」の字形にいま少し配慮を加えると、さらに立派になると思われる作品が散見されました。今後の課題としてくだされば幸いです。

高校生部門は、頼山陽作品の臨書またはその詩句による創作が課題でした。山陽書の臨書は山陽と直接語り合う何よりの機会となるものです。忠実に臨書するには難易度の高い書ですが、筆意筆脈をよく観察し、山陽の想いを追体験するつもりで取り組めば、作品制作力のみならず、得られるものは非常に大きいのではないかと思います。読みとりにくい文字は字典で確認するなどして、今後もぜひ継続してチャレンジしてください。創作は皆さんの普段の学びが生かされる分野です。今回の出品作にも各自がこれまで取り組んできた古典研究の成果が様々に反映されており、心楽しく拝見いたしました。

全体を通してみますと、今回は高校生部門の出品数が少なく、少し残念に思いました。今後さらに多くの学校、団体から幅広く出品がなされ、書道の学びとともに頼山陽への一層の理解が進んでいくことを願ってやみません。来年もぜひ本書道展でお目にかかりましょう。

 

広島県立広島観音高等学校
教頭 迫 眞一郎 先生

全体として、作品に一生懸命に取り組んだ様子がよく分かり、好感が持てる作品ばかりでした。

小学生の作品は、文字数や一文字の画数が少ない分、文字のバランスをとる事が難しい課題でした。入賞した作品は、字形を整えて筆勢も良く、安心感のある作品でした。

中学生の作品は、四文字のバランスを整えることが大切となる課題でした。入賞した作品は、全体のバランスが良く、文字の大きさも自然な変化が表現できており、生き生きとした作品でした。

高校生の作品は、難易度がかなり高い課題でした。入賞した作品は、字形や筆意の変化を良く表現できており、力強さの中に爽やかな雰囲気を感じる事ができる秀作でした。

 

広島県立海田高等学校
教諭 上河 綾子 先生

第5回頼山陽書道展において、入賞・入選された皆さん、おめでとうございます。

小学生部門の課題「真」「忠孝」は、ともに頼山陽がとても大事にしていた言葉です。どの作品も言葉の持つ意味をふまえ、素直な用筆で一画一画丁寧に書かれており、皆さんの真剣に書に取り組む姿を感じるものでした。文字の中心をそろえること、「真」「忠」の最後の二画の書き方【点画の位置、用筆等】に気をつけること、そして名前もしっかり練習することに気をつけると、さらに良くなると思います。

中学生部門は「山紫水明」「浩然之気」という課題を、用筆、運筆はもちろんのこと、文字の大きさや中心、名前との調和等、紙面へのおさめ方も考えて伸びやかに表現していました。日頃から基礎・基本を大切にして練習を重ねていることが伝わってくる作品の数々でした。点画と点画、文字と文字とのつながりをもっと意識して書くと、まとまりやリズムが生まれます。そうすることで、より一層良い作品になるのではないでしょうか。

高校生の部門は他の部門に比べ出品点数が少なかったですが、どの作品も頼山陽の言葉に真摯に向き合い、それぞれの表現に取り組んだもので、審査に時間を要しました。いくつかの作品には誤字ではないかと思われる文字が見られ、残念な結果になったものもあります。自分で書道字典などをしっかりと調べて字形を確認し、理解して書くよう心がけましょう。また、難易度が高いとは思いますが、臨書課題にも積極的にチャレンジしてほしいと思います。

この書道展は技法だけに偏らず、頼山陽の言葉の持つ意味や精神性等も学び、表現するすばらしい機会だと思います。今後もさらに研鑽を積まれ、来年度はさらに成長した作品を出品されることを期待しています。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 谷﨑 栄子 先生

小学校部門は、紙の空間を意識して、文字の大きさ、止め、はねの技能等、よりよく書こうと努力している作品が多く見受けられ、日々、書道に取り組んでいる姿を感じることができました。そういった作品の中でも、特に目を引いたのは、その文字のもつ意味を表現できているものであったと思います。

中学校部門は、字形の整え方、運筆の滑らかさ、筆圧のかけ方や一点一画を確かめて丁寧に書こうとする技能の高さを感じました。それらの中でも優れた作品は、頼山陽の文字に込めた思いを表現できていたものであったと思います。「浩然之気」という課題がありましたが、優れた作品からは、「浩然之気」という故事成語の意味に含まれる、天地に恥じることのない行動から自然に心の中に育てられていく大きく強い勇気や精神を感じ取ることができました。

高校部門は、様々な書体にチャレンジされおり、その芸術性の高さに感心させられました。頼山陽の詠んだ詩と向き合い、その内容を踏まえて、自らの解釈を豊かに表現しようとする作品から、日々様々な思いをもって書と向き合い、研鑽を重ねてこられた時間を感じました。

今後も、ぜひ多くの子供たちに、書道という伝統文化を通して広島ゆかりの頼山陽について学び、その詩文に触れてほしいと願います。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 升谷 英子 先生

第5回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、入賞・入選された皆様、おめでとうございます。今年度も、多くの児童生徒が、頼山陽の詩や句をもとに創意工夫を凝らし、それぞれの課題に一生懸命取り組んでくださったことを大変嬉しく思いました。

小学校部門では、「真」と「忠孝」が課題でした。どちらもバランスの取りにくい字形ですが、どの作品も丁寧に書き上げてありました。その中で、特に、とめ、はね、はらい等の練習を繰り返し行い、余白を考えながら仕上げられた作品や、動きと勢いのある線で表現された作品などが印象に残りました。

中学校部門では、「山紫水明」と「浩然之気」が課題でした。楷書や行書、それぞれの書体の作品から力強さや雄大さが表現され、堂々とした書きぶりの作品が多くありました。その中で、特に、のびやかに、そして流れのある筆遣いで表現された作品からは、日頃の鍛錬を感じることができました。

高校部門は、臨書と創作の課題がありました。臨書では、書体の特徴を的確にとらえた作品が多く、創作では、自分なりに詩の内容を踏まえて書体を工夫している作品が多く、見応えがありました。伝統的な文字文化を継承しようとしている姿や、ひたむきに書と向き合う真摯な姿勢を想像することができ、頼もしく感じました。

今後も、本書道展を通して、多くの児童生徒が頼山陽について学び、その詩文にふれていく機会になることを切に願っております。

 

TEL (082)542-7022 9:00~17:00

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