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第9回広島県公募書道展「頼山陽書道展」入賞作品

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作品  審査評

頼山陽賞

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川崎市立木月小学校 五年
木下 愛子さん

この度は、すばらしい賞に選んで下さりありがとうございます。言葉の意味を調べて、「真っすぐ誠実でありたい。」と思いを込めて作品作りに取り組みました。
お手本はなく、どうすればかっこいい真が書けるか自分なりに色々な「真」を書きました。また、半紙一文字は苦手な分野でしたがチャレンジした事で最高賞を頂いた事は、自分の自信と成長につながっていると信じています。ありがとうございました。

 

広島県教育委員会賞

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広島大学附属福山中学校 三年
大野 可憐さん

この度は、広島県教育委員会賞という素晴らしい賞をいただきありがとうございました。
私は、『浩然之気』の何ものにも屈しない道徳心という意味に惹かれ、「勢いを感じる伸びやかな作品」を念頭に置き練習を重ねました。文字のバランスをとることが難しく苦戦しましたが、書道部の先生の温かいご指導のおかげで納得のいく作品に仕上げることができました。これからも様々な書体に挑戦し、楽しく書道に励んでいこうと思います。

 

広島市教育委員会賞

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広島市立五日市中央小学校 五年
有福 千紗さん

この度は、広島市教育委員会賞というすばらしい賞に選んでいただき、ありがとうございます。
わたしは、この作品を書く時に、字のバランスに気をつけました。そして、忠のハネと孝の左はらいがむずかしかったので、うまく書けるまでたくさん練習しました。
これからも自分のなっとく出来る字が書けるように、がんばって練習していきたいと思います。

 

福山市教育委員会賞

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広島市立基町高等学校 一年
藤原 茉子さん

この度は、福山市教育委員会賞という素晴らしい賞に選んでいただきありがとうございました。
今回、初めて木簡に挑戦してみました。木簡の特徴を掴むのが難しく、なかなか思っている字にならず、練習の日々でした。潤筆、渇筆、線の強弱や全体のバランスを考えて、楽しみながら作品を完成させました。これからも、楽しく自分の字を書いていきたいです。

 

熊野町教育委員会賞

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広島市立亀山中学校 二年
榎本 匡華さん

「浩然之氣」を書くときに気を付けたところは、全体のバランスです。一画に集中すると文字に統一感がでてこないので、そこに着目して一生懸命書きました。
難しかったところは、「之」の右はらいです。うまくまとめることができず、何度も練習をしました。前よりもきれいに書けるようにという思いを込めて書くことができたのでよかったです。この度は、良い賞に選んでいただき、本当にありがとうございました。

 

特選

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広島県立祇園北高等学校 一年
徳井 心蘭さん

この度はこのような素晴らしい賞を頂き、ありがとうございます。
私は「外史脱稿戯作」を臨書しました。複雑な文字が多く最初は誤字が沢山ありましたが、この書について学び、一文字一文字丁寧に法帖を見て書き写すことで誤字を減らしていきました。
今回の経験を糧に、今後も書道についてたくさん学んでいきたいと思います。

 

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広島市立三和中学校 一年
松岡 希彩さん

この度は、特選というすばらしい賞をいただき、ありがとうございました。
頼山陽が目にした景色を思い浮かべながら行書で流れのある美しい作品に仕上げることができました。「紫」の右上がりの線には苦戦しましたが、練習を重ねることで、バランスよく書くことができました。
この賞を励みに、これからも書道を楽しみ努力を重ねていきたいと思います。

 

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広島市立亀山南小学校 六年
小田 来果さん

私は、「忠孝」という字を書きました。
忠孝と、書くうえで最初に意味を知り、書く時は一枚一枚気持ちをこめて書きました。
「忠孝」の「忠」は、「中」と「心」がはなれないように意識しました。「孝」は、「孝」全体のバランスが正しいように書きました。授賞式では、賞にえらばれるうれしさを態度に表します。他の人の評価を聞き、次の作品を書くときに生かしたいです。

 

奨励賞

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ノートルダム清心高等学校 二年
小林 優希さん

この度は奨励賞という素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。私は今回、学校の部活動で一年間臨書に取り組んだ光明皇后の楽毅論での創作に挑戦しました。頼山陽書道展への出品は初めてで不安もありましたが、光明皇后特有の気迫に満ちた強い線を意識しながら自分の納得がいくまで練習を重ねました。この作品の制作で得た経験を大切に、これからも純粋に楽しむ気持ちを忘れず大好きな書道に向き合っていけたらと思います。

 

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広島県立可部高等学校 三年
中島 柊太さん

この度は頼山陽書道展において奨励賞というすばらしい賞をいただきありがとうございます。私は今回「心記江公創業迹」の課題を書かせていただきました。
今回の作品製作では、文字のかすれによる躍動感を感じられるように意識して書くことに特に力を入れて取り組みました。結果、線の変化を感じられつつもバランスのとれた一枚に仕上がりました。今回の製作の経験も今後に活かし書道に取り組んでいきたいです。

 

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広島なぎさ高等学校 二年
宮永 愛麗さん

この度は、奨励賞をいただきありがとうございました。「癸丑歳偶作」の四句を書くにあたり、造像記の特徴的な書体を取り入れることに苦労しました。特に画数の差によって空間のバランスを工夫しなければならず、とても難しかったです。初めてこの大きさの作品に挑戦したので苦戦しましたが、良い経験になりました。これからも精進して書道に励みたいと思います。ありがとうございました。

 

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広島市立亀山中学校 三年
岡田 真香さん

この度は、このような賞をいただき、本当にありがとうございました。
私は今回、「唯真故新」という字を書きました。この字を書くにあたり、私は、筆のなめらかさを意識しながら書きました。しかしなかなか上手く書けなかったので、自分が納得するまで、繰り返し練習しました。
これからも、自分が納得できる字を求め、たくさん練習をし、楽しみながら字を書いていきたいです。

 

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広島市立広島中等教育学校 三年
木藤 暖乃さん

今回は、奨励賞を頂き本当にありがとうございます。「唯真故新」を書く上で気をつけたのは、「唯」のへんとつくりのバランスです。どちらかが目立ちすぎてしまわないように書くことが難しく、とても苦戦しました。また、「唯」や「真」の横画を等間隔にすることや繋がりを意識して書きました。そして、名前も作品の一部なので小さくなりすぎないようにしました。今後も楽しみながら書道を続けていきたいです。

 

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稲美町立稲美北中学校 一年
松村 美緒さん

この度は素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
私は「山紫水明」を書く時、澄み切っている美しい自然をイメージし、その景観を文字に表せるように、たくさんの練習を重ねました。特に難しかったのは、気脈を通して統一感のある作品に仕上げることです。一緒に努力した仲間、行書の正しい書き方や楽しさを教えて下さった先生、サポートしてくれる家族への感謝を胸に日々精進していきます。

 

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広島市立亀山小学校 六年
鈴木 彩夏さん

私は、「忠孝」と書きました。
最初は、点の位置や左はらいや心の大きさが上手に書けませんでした。でも、先生は私がむずかしいと思っていたところを教えてくれて一つ一つていねいに書きました。
特にできるようになったところは、点の位置です。心の三画目と四画目の点が、二画目のはねをはさむように書きました。

 

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広島市立亀山小学校 五年
高尾 愛来さん

私は「真」を書きました。気をつけた所は同じ横線が同じ右上がりで同じせまさになるように気をつけました。書いてむずかしかったところは、八画目の左右同じ長さで書く所がむずかしかったです。「真」を書くのに三十枚ぐらい使って書いたと思います。たいへんでしたけど、その中からとても良い作品を書けてよかったです。私は「真」を書くのに「目」が細くなってうまく書けませんでした。でも、楽しく書いたのでうまく書けました。

 

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広島市立亀山南小学校 六年
中田 皓大さん

僕は、忠孝という字を書きました。
忠孝の二文字をバランス良く書くよう意識して書きました。「忠」の漢字の中にある心の二画目のはらいの向きに気を付けて書きました。「孝」の漢字の中にある子のバランスや左右の長さに気を付けて書きました。初めての奨励賞に選ばれてとてもうれしいです。
これからも、良いところはけい続していき、悪いところはなおしてこれからも頑張ります。

 

審査評

広島文教大学
名誉教授 日比野 貞勝 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」においてご入賞、ご入選された皆様、誠におめでとうございます。応募された作品はどれも頼山陽の詩・句をもとに創意と工夫が凝らされており、臨書課題においても頼山陽の技と心に学び迫る力作でした。審査は筆使いによる美しさや力強さの優劣は無論ですが、情感の充実度、心境や境地の崇高さという筆意も併せて採点しています。賞に選ばれた作品は、〝心手合一〟〝心手双暢〟という孫過庭『書譜』の句や、「書には神・気・骨・肉・血あり」(精神・気力・芯の強さ・麗しさ・脈絡)という蘇軾『論書』の句、「字の形に魂を入れるのは筆の勢いである。筆の勢いのもとは心である」と尊円親王『入木抄』のいうように、技と心とが一になって生き生きと運筆された一作一作で、見ごたえも十分な秀作です。尚、美しい線でありながら誤字に気づかず選外となった作品がありました。漢字は表意文字です。漢和辞典で部首とその構造を調べ、その上で表現の工夫をして作品化することが大切です。以下、入賞作品に寸評を記し審査評とします。

特別賞
「頼山陽賞」
木下愛子さんの「真」は完璧かつ大傑作な書品。どこから見ても非の打ち所のない満点の筆使い。筆画の隅々まで神経と筆鋒が行き届いて生気と緊張感に満ち、全体の統一力には見る人の心と目に長く焼き付ける美しさと迫真力がある。特にその生き生きとした筆勢は飛びぬけて優れ、「真」字に込めた心境と一になって書かれており全く驚いています。この「真」という字は一画もゆるがせにできない左右対称の字形で誰しも苦慮するところ。典型美や安定感を求めた唐時代の書人たちは左半分をやや縮めて、右半分を伸びやかにすることで解決を図った。韻致や意境を求めた晋時代や北宋時代の書人たちは上下左右に筆勢や疎密の工夫、心の葛藤・克服を発揮して解決を図った。この作品は鮮明な筆勢で、上半分を左右対称にして(内面の葛藤を秘めつつ)脚部で(克服し)意気を発揮している。結果として後者、晋時代や北宋時代の書人の韻致や意境に近く、大きな気宇と強い芯、崇高な筆勢とで葛藤・克服の美を達成している。まさに頼山陽賞に相応しい秀作です。
「広島県教育委員会賞」
大野可憐さんの「浩然之気」は誠に重厚にして秀潤、充実感のあふれる秀作。豊かな性情と力強い意志、巧妙な筆使いに裏打ちされた脈々とした運筆には目を瞠るものがある。また線質の充実感や余白の美しさは一朝一夕になせる技ではなく、今までの修練によって体得された懸腕・執筆・運腕による輝きを放っている。実直かつ誠実な味の溢れた秀作です。
「広島市教育委員会賞」
有福千紗さんの「忠孝」は堅実で力強い筆使い、充実した気力が充実、整然とした全体構成でこの句を象徴しているような秀作。書き出しから落款まで凛とした気構え、確かな腕法・執筆法で一画一画組み立て構築していて、あたかも堅牢で立派な建築物をも想像させる。
特に「忠」字の運筆には情感、「孝」字の的確な筆画には意気が見て取れる。基礎基本に裏打ちされた作品です。
「福山市教育委員会賞」
藤原茉子さんの「癸丑歳偶作」は詩境を想起させる意気溢れる傑作。「天」字から「史」字に至る筆致・筆勢、脈々とした自律的な展開は見事。漢簡の筆法を活かした天真な生気、素朴で奔放な線の美しさ、展開の即妙が効いている。起筆部の逆鋒や露鋒、頓挫、また運筆の緩急や躍動、結構の疎密や向背等々の要素を渾然一体化することは容易ではないが、本作は強い意志と確かな懸腕・運腕、溢れる意気、雄大な気宇で克服している。少々粗削りながら凛然とした大きな姿は青年期の一特権。こうした意欲と古今の名品から自己を確立していく姿勢は頼山陽の学書にも通じます。
「熊野町教育委員会賞」
榎本匡華さんの「浩然之気」は洗練された線質美と清々しい統一生動感に目を瞠る秀作。特に神経が筆画の隅々まで行き届き、点画は相互に呼応し、筆路は途切れても気脈はつながっている。余白の美しさには懸腕執筆の良さが、また溌剌とした筆勢の美しさ・力感には腕法の良さや気力の充実が見て取れる。修練と姿勢に裏打ちされた結晶のような作品です。

特 選
徳井心蘭さんの「外史脱稿戯作」は詩意・詩境が筆勢や筆脈から溢れるような秀作。点画の相互の呼応や行と行との照応が密で、その調和・統一感がすばらしい。基礎となる結構法や布置章法の手堅さが見て取れる。特に上半分は①捻筆や提按が線質や余白の美と力を増幅させている。②〝心手双暢〟、意連・形連に必然性や自律性も窺える。③「知白守黒」、また常に白を計って黒を置く「計白当黒」という妙境を感得している様子。という点で傑出しています。
松岡希彩さんの「山紫水明」は実直で秀潤、充実感のあふれる秀作。書き出しから落款まで豊かな性情と力強い意志、巧妙な筆使いで非の打ち所がない。特に①「山紫」の雄壮な力強さ、自然な柔軟性は見事。②「水明」には確かで洗練された用筆美がある。③全体構成も画数の多少による困難さを微塵も感じさせない。という点で傑出しています。
小田来果さんの「忠孝」は迷いのないキッパリとした心境で、強く美しく完璧に書き上げた秀作。特に①一画一画の起筆・送筆・収筆というメリハリが適切で典型的な美と力がある。②芯が通っており、バランスもよくとれている。③落款も含めて全体構成も見事。という点で傑出しています。姿勢の良さや修練の積み重ねが窺えます。

奨励賞
小林優希さんの「題不識庵撃機山図」は詩境を象徴しているような緊迫感の漂う力作。筆鋒に注ぐ神経、書き出しから落款まで全く途切れない気脈、また筆を屹立させ意気を乗せた筆勢には余韻があり痛快。画数の差が大きく、調和を図ることの難しい詩ですが統一生動させる意気・筆力は抜群です。
中島柊太さんの「心記江公創業迹」は筆脈が貫通しているとともに全体の均衡・統一のとれた力作。原帖に比してやや筆が細く量感に欠けるが、捻筆の効果で線の質感は上々、余白も明瞭で美しい。点画相互の呼応、文字から文字への意連、行と行との照応など見ごたえがあります。
宮永愛麗さんの「癸丑歳偶作」は安定した一字一字の結構法、整然とコントロールしている行構成や布置章法に秀でた力作。起筆部で逆法・衄法を加味し、運筆に疾・渋を織り交ぜる工夫をしてみてください。平板さを克服でき、中国の清代の趙之謙などの美や力、風趣を醸しだせるかと期待感の湧く作品。

岡田真香さんの「唯真故新」は実直で秀潤な書きぶり、充実感のあふれる秀作。特に書き出しから落款まで気力も筆力も途切れることなく充実しており見事。すっきりとしていて力強く、また伸びやかで線も余白も美しい。姿勢や集中力の良さも浮かんできます。
木藤暖乃さんの「唯真故新」は心地良いリズム感のある運筆で颯爽とした趣のある秀作。特に筆致・筆勢に躍動感があり、文字から文字への意連またその間合いは絶妙。結果としてその調和・統一感もすばらしい。派手さや小賢しさに偏しない美と力があります。
松村美緒さんの「山紫水明」は意志と気力が筆端からあふれ、正々堂々とした秀作。特に集中力の高さと筆使いの巧妙さは見事。一筆一筆の確かさや力感、字形の組み立て方や均衡のとり方、充実感は抜群。確かな芯や誠実な味があります。

鈴木彩夏さんの「忠孝」は誠実ですっくとした心境が伝わってくる秀作。
特に一画一画の筆致と筆勢とがすばらしく、強さや美しさまた生気に満ち、均衡や全体構成も見事。日頃の修練や姿勢の良さに裏打ちされた力と安定感があります。
高尾愛来さんの「真」は志を内に秘めたような力強い筆使いで、バランスもよく取れた力作。特に横画の確かで堂々とした筆使いやキッパリとした脚部の構えはすばらしい。誠実で生き生きとした美しさと強さがあります。日頃の学びや修練、努力の姿が浮かんできます。
中田皓大さんの「忠孝」は一心不乱、集中力の高い書きぶりで迫真力のある作品。特に懸腕がしっかりしており、筆画と筆画が意気でつながった結構は緊密で抜群。余白にも凛とした緊張感と生き生きとした美しさが溢れている。日頃の修練や集中力の良さが浮かんできます。

その他、入選作にも優れたところが多々ありましたが、紙面の都合で省略します。頼山陽は詩や文章で一家を成した郷土の大先達です。また書道においてもナンバーワンの大家でした。特にその書は詩文の境地と一体になった骨法・用筆と、颯爽たる気迫や筆勢、風韻、美しさに特徴があります。その背後には、驚くべき創意と工夫、吟味、思索があります。文学、学問によって鍛え上げられた崇高な気と葛藤・克服の人間の厚みがあります。頼山陽の足跡をたどり、倣い、さらに研鑽を積んで、また来年度も挑戦してください。

 

安田女子大学 文学部書道学科
教授 信廣 友江 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」においてご入賞ご入選された皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
本年度もたくさんの力作が寄せられました。どの作品も心のこもった丁寧な書きぶりで、頼山陽の詩・句に基づく課題に真摯に取り組んでいる様子がよく伝わってきました。

小学生の部は半紙への「真」または「忠孝」が課題でした。「真」は画間のとり方や縦画と横画の組立てなど、また「忠孝」は二字のバランスのとり方やハネやハライなど多種の用筆が含まれるなど、様々な注意点があって完成までには多くの時間を費やされたことと思います。じっくり考えながら一点一画を入念に書き進める時間はとても充実していたのではないでしょうか。その練習の過程を通して、みなさんは書写の基礎基本をしっかりと身につけられました。出品された作品は、どれも筆づかいが素直で伸びやかです。そして、その中にもみずみずしくスッキリと書き上げた作品、力強く堂々とした作品など、一人ひとりの持ち味があらわれていて、とても頼もしく思いました。今回の学びを生かしながら、これからも沢山の作品に取り組んでいってください。

中学生の部は、長半紙への四字句を楷書または行書で書く課題でした。一行書き四字という配字は、半紙では体験できにくいもので、新鮮な気持ちで取り組むことができたのではないでしょうか。一字一字の表現に習熟するとともに、四字全体のまとまりや自然な流れなど全体を見通しながら書くことは、難しくも楽しい学びの機会になったことと思います。全体構成を考える際には、字形や画数の多寡なども大きな要素となり、選択した課題によって留意点が変わってきますが、みなさんはその点についてもよく考えて紙面に配されていました。墨量への配慮が行き届いている作品や、筆がよく動いて生き生きと表現された作品が多々見られた点もよかったと思います。今後もぜひ様々な規格の作品に挑戦してください。

高校生の部は、賴山陽の詩句からの臨書または創作でした。従来の半切課題から、本年度は新たに半切三分の一、半切二分の一課題が新設され、表現の幅が広がりました。創作は、漢代の木簡の書法がイメージされる躍動感溢れる表現や、じっくりと沈着に書き上げた重厚な楷書表現など、一人ひとりの個性が豊かに表されていました。臨書を選んだ方は、まさに山陽との対話そのものを体験されることとなりました。山陽の書はいわゆる書家のそれとは異なるところがあり、筆意などの微細なところで判断に迷う部分もあったのではないかと思いますが、よく観察し、用筆や線質を含め忠実な臨書を目指していらっしゃって、見ごたえがありました。得られたものも大きかったことと思います。ただ、高校生の課題は字数も多く、難字も含まれていて、脱字や草書表現に誤解が見られるなど、残念に思われる点も散見されました。草稿段階での文字確認を入念に行い、さらなる向上を目指してください。

このたび、みなさんは小学生、中学生、高校生という様々な立ち位置から、「書く」ことを通して賴山陽に深く接し、充実した学びをされました。今回もみなさんの素晴らしい作品と出会えたことを感謝しています。今後ますますのご活躍とご発展をお祈りしています。

 

広島県立賀茂高等学校
教諭 迫 眞一郎 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、御入賞並びに御入選された皆様、誠におめでとうございます。お祝い申し上げます。
この書道展への応募作品は、毎年レベルの高い作品が寄せられます。今年も、審査会を楽しみにしておりましたが、期待通りに、素晴らしい作品が数多く寄せられていました。

小学生の部では、日ごろから基本的な練習を積み重ねて、そのうえで課題に取り組んでいる様子が良く分かりました。作品をより良く仕上げるためには、日ごろの書字をする場面で、字形を整えることを意識しながら取り組みましょう。

中学生の部では、楷書および行書の課題でしたが、どの作品も書体の特徴をよく踏まえて、大らかに書字した作品ばかりでした。どの作品も書風が堂々としており、日頃の積み重ねがあってこそ、成果が表れているのだと思いました。長半紙に一行書きですから、課題文の各文字の画数による文字の大きさの違いや線の太さの変化を、違和感なく表現する事は、意外に難しかったと思います。レベルが高い作品は、その点を上手に表現していて、印象に残りました。

高校生の部では、課題は頼山陽の作品の臨書や漢詩の創作ですが、挑戦し甲斐がある課題ばかりです。特に臨書では、日頃から様々な作品に接して、頼山陽の用筆法を理解できる素地を作っておくことが大切です。日頃の鍛錬が成果として表れる課題です。創作作品は、毎回様々な書体で書いた作品が出品され、見応えがあります。ただし数点、誤字を含む作品がありました。それらもどれも筆力のある出来映えなのですが、残念な結果となりました。

さてこの書道展は、今日の日本の礎を築いた先人たちの志に触れることができる、よい機会です。この書道展を通して、書字の技法を高めると共に、自分たちの未来について考える、よい機会としてください。今後も、この書道展に大いに参加してください。

 

広島県立広島観音高等学校
教諭 伊藤 珠己 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、入賞・入選された皆さま、誠におめでとうございます。
どの作品も課題の言葉と向き合い、表現の方向性を定めながらしっかりと書かれ、気迫に満ちていました。

小学生の部では、用紙に合った文字の大きさや配列がよく考えられており、穂先の動きと点画のつながりも感じられる作品が多くありました。また、「真」「忠孝」を言葉としてとらえ、それを堂々とした書きぶりで表現されており、くり返し練習された成果であると感心いたしました。

中学生の部では、課題の言葉をふまえ、卓越した筆づかいと均整のとれた字形、紙面に体裁よく収めた文字の配列により、効果的な表現になりました。また、名前の位置や書きぶりもよく考えられており、日頃から練習に励まれた成果であると感銘を受けました。

高校生の部「高校生課題」では、線質の豊かさ、流れの美しさ、変化する中にも統一感がありました。また、意図に基づいた表現を構想し工夫され、詩の情感を個性豊かに表現されていました。また、「高校生臨書課題」では、頼山陽の詩や書と向き合い、字形、全体の構成をはじめ線質までよく研究され、見事に表現されていました。両課題ともに日頃から書に親しみ、練習に励まれているからこその出来栄えであると感銘を受けました。
今後の参考として、詩を書くという観点から文字にも関心をもち、字典を活用していただきたいと思います。複数の書きぶりや出典から、文字の書き順、実線と虚線を意識されると、誤字を防ぎ、筆路や抑揚等、理に適う表現になると思います。

作品の制作過程では、時に思い通りに書けず、作品の方向性に迷うこともありますが、様々な困難を乗り越えて出来上がった作品には、奮闘の成果と個性が表出されているように思います。本書道展において、頼山陽の詩句を豊かに表現された作品に出会えたことに感謝いたします。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 関根 紗絵 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」に、今年も県内外から多くの小・中・高校生からの応募がありました。作品からは、応募された皆さんの、これまでの努力や研鑽の跡が感じられ、大変嬉しく思いました。

小学生部門では、まっすぐに筋の通った、勢いのある筆遣いで表現された「真」や、文字や余白などの全体のバランスがよく、点画から点画への筆運びを意識して書かれた「忠孝」が印象に残っています。その中でも、特に優れていた作品は、始筆から終筆、止め、はね、はらい等まで、迷いのない筆遣いのものであったと思います。

中学生部門では、それぞれの書体の特徴を踏まえ、バランスよく書けている作品が多かったように思います。自分に正直に、素直な筆遣いで書かれた「唯真故新」、美しい自然を滑らかな筆脈で表現した「山紫水明」、天地に満ち溢れる元気を勢いのある筆遣いで表現した「浩然之気」など、言葉のもつ意味を大切にし、強弱のあるリズミカルな運筆で書かれた作品ばかりでした。

高校生部門は、小・中学校時代に身に付けてきた書道の基礎的な技術を基盤としながら、創造的に表現された作品が多く、その技量の高さに驚きました。頼山陽の詠んだ詩の内容や背景を踏まえて、多彩に表現された作品からは、書への永続的な愛好心が感じられました。

いずれの部門においても、優れた作品は、それぞれの言葉に込められた頼山陽の思いを、書き手によって豊かに表現されたものであったと思います。
今後も、頼山陽の詩文を書で表現することを通して、多くの児童生徒が書の伝統や文化に親しむ機会となり、この素晴らしい文字文化が次世代へ継承されることを願っております。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 宮岡 大輔 先生

第九回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、入賞・入選された皆様、おめでとうございます。今年も県内外から多くの児童生徒が、頼山陽の詩や句をもとに創意工夫を凝らし、不断の努力に裏打ちされた力作を出品されており、大変嬉しく思いました。
頼山陽が寝る間を惜しんで執筆や読書にいそしみ、努力を積み重ね、約二十五年もの歳月をかけて完成させた「日本外史」は、かつての老中である松平定信に認められ、幕末の日本に多大な影響を与えました。今回の書道展においても、頼山陽が遺した詩や書などから、その考えや生き方が伝わってくるような言葉が課題として設定され、小・中・高校生それぞれの部門において、一人一人の児童生徒がその意味を理解し、書に表現されていると感じました。

小学生部門では、「真」と「忠孝」が課題でした。頼山陽の座右の銘のとおり、自分を飾らず書かれている作品が多く、それぞれ独自性が発揮されていました。

中学生部門では、「山紫水明」、「浩然之気」、「唯真故新」が課題でした。「山紫水明」や「浩然之気」の意味のとおり、美しく書かれている作品やこの上なく大きく、力強く書かれている作品が印象に残りました。

高校生部門は、臨書と創作の課題がありました。どれも難しい課題ではありましたが、頼山陽の詩や書を踏まえ、創造性や芸術性に富んだ作品が多くみられ、感心させられました。

今後も、多くの子供たちが書を通して頼山陽について学び、郷土が生んだ頼山陽という先人の業績に触れていく機会になることを切に願っております。

 

TEL (082)542-7022 9:00~17:00

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