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第7回広島県公募書道展「頼山陽書道展」入賞作品

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作品  審査評

頼山陽賞

広島市立彩が丘小学校 五年
松岡 希彩さん

この度は、頼山陽賞に選んでいただき、ありがとうございます。
わたしは、たくさんの時間をかけて「忠孝」を書きました。先生に指導していただき、バランスよく書けるように、太さやはね、空間、角度に気をつけて練習しました。なっとくのできる作品を書くことができ、とてもうれしかったです。
これからも、美しい作品が書けるよう書道を続けていきたいです。

 

広島県教育委員会賞

山陽高等学校 三年
礒川 かえでさん

この度は、広島県教育委員会賞というすばらしい賞をいただきありがとうございました。
私は、今回初めて頼山陽の作品の臨書に取り組みました。いつも書く時とはバランスのとり方が違う文字が多いことや線の強弱に苦戦しました。何度も練習を重ねるうちに、自分が納得いく作品を仕上げることができ嬉しかったです。これからも様々な書体の作品に挑戦し、自分らしさのある作品を書きたいと思います。ありがとうございました。

 

広島市教育委員会賞

広島市立亀山中学校 三年
中西 智春さん

この度は、このような素晴らしい賞を頂き、ありがとうございます。この作品を書く上で特に意識したことは、文字のバランスが整うように書くことです。「気」が「之」に比べて大きくなりすぎないように意識して書きました。また、「然」のれっかを流れるように書くことも心がけました。文字のつながりも意識し、最後まで集中して丁寧に書きました。
これからも努力を重ね、いろいろな作品に挑戦していきたいと思います。

 

福山市教育委員会賞

稲美町立天満小学校 五年
松村 美緒さん

私は、「真」という字の意味のように、真っ直ぐな気持ちで、じく線が通るように注意して書きました。また、一画一画が力強くなるよう、止めやはらいを意識しました。名前も「真」に負けないよう、のびのびと書けるように練習しました。
ここまで文字の書き方や書道の楽しさを教えて下さった先生に、とても感謝しています。さらに心のこもった字が書けるように、これからも努力していきます。

 

熊野町教育委員会賞

広島市立亀山南小学校 六年
榎本 匡華さん

今年は「忠孝」という字にチャレンジしました。「忠孝」でがんばったことは、孝の左はらいです。孝の左はらいをちゃんとしないと孝のバランスがおかしくなるのでそこに注意して書きました。最初はやっぱり孝の左はらいが力強くなくきれいに書けませんでした。どうやったら書けるんだろうと思いながら、たくさん練習しました。そしたらコツを見つけてきれいに書けるようになりました。これからもいろいろな字に挑戦していきたいです。

特選

広島県立高陽東高等学校 三年
尾畑 空さん

この度は、特選というすばらしい賞をいただき誠にありがとうございました。
造像記のような鋭さを出すために、起筆や払いの角度に気を付けながら書きあげました。力強く書く反面、収筆部分を強調しすぎないようにしました。練習を重ねる中で、鋭さと強弱を出せるようになりました。
この賞を励みに、さらに書と真剣に向き合い、自分の字を磨いていけるように頑張ります。

 

広島県立三次中学校 一年
角嶋 優南さん

この度は、すばらしい賞をいただき、ありがとうございます。
私は、この「山紫水明」という字を書くときに、初めて頼山陽が作った言葉だと知りました。最初は、字と字の大きさのバランスをとるのが難しかったです。けれど、一つずつ文字の大きさを意識して書くことで自分の納得のいく作品を書くことができました。
これからも、書道に励みたいと思います。

 

広島市立亀山南小学校 六年
木口 陽日さん

今回、素晴らしい賞を頂き、とてもうれしく思います。「忠孝」では、点のはねや間かくなどバランスに気をつけて書きました。また、一生けん命書いたので努力したかいがありました。小学校最後の一年で書道の良い思い出に残りました。
これからも努力し、楽しみながら書道を続けていきたいと思います。そして、今の自分よりも超えるような字を書き続けていきたいと思います。今回はありがとうございました。

 

奨励賞

広島県立高陽東高等学校 三年
西川 結菜さん

この度は、奨励賞に選んでいただき誠にありがとうございました。
今まで挑戦したことが無かった造像記で創作を行いました。一文字一文字に迫力を出すため、起筆を力強く書きました。また、墨の潤滑を出すことや鋒先をうまく使い払いの最後まで気を抜かずに書きあげました。
これからも様々なことに挑戦し、表現の幅を広げていきたいと思います。

 

広島市立広島中等教育学校 五年
森 美友さん

私はこの作品を隷書体で書きましたが、波磔は用いずに、横画の線の強さを表現しました。また、字が安定して見えるように、「古」や「始」の口の部分に注意したり、下の部分にも目が届くよう墨つぎのタイミングも考慮しました。難しかったのは「始終」のへんとつくりのバランスです。字が窮屈に見えないようにしつつ隷書の扁平さを残すのにとても苦労しました。そのぶん書き終えた作品を見たときの達成感は忘れられません。

 

広島市立広島中等教育学校 四年
吉川 紗矢さん

私は、柔らかくて、文字が流れるように書きたかったので、一画一画のつながりと滲みを出すことを意識しました。難しかったのは、線です。黄庭堅の書特有の雰囲気を出したかったので、それを失わないように心掛けました。また、これまで、はっきりとした線で書くことが多かったので、蛇のようなくねくねとした線は新鮮でした。しかし、書いていくうちに慣れて、良い作品ができたと思うので良かったです。

 

三次市立八次中学校 三年
藤本 倖奈さん

この度、奨励賞をいただきありがとうございます。
私は「浩然之気」を書くとき、全体のバランスと文字の流れを意識して書きました。「之」が全体のバランスと合わず難しかったですが、上手く書けて良かったです。
これからも、たくさんの書体に挑戦して努力していきたいです。

 

広島市立可部中学校 二年
加藤 唯愛さん

この度は、奨励賞をいただき、ありがとうございました。
私が「山紫水明」を書く上で注意したところは、文字の大きさのバランスを整えることです。画数が多い字と少ない字があり、大きさがそろわないことがたくさんありました。ですが、何枚も重ねて書き、その都度作品を振り返ることで、納得のいく作品ができました。これからもたくさん書いてより美しい文字が書けるようになりたいと思います。

 

広島市立三入中学校 二年
伊谷 海栄さん

この度は奨励賞をいただき、ありがとうございました。とても嬉しいです。私は「唯真故新」という言葉を書きました。最初は「唯」の「口」が大きくなってしまったり、字と字の間が広すぎたり狭すぎたりして大変でした。しかし何枚も丁寧に書くうちに上達し、自分の中で最高の字を書くことができました。この書道展を通して、諦めずに努力することは大切だということを改めて感じました。これからも書道に励んでいきたいです。

 

広島市立亀山南小学校 五年
下島 紗良さん

私は、「真」という漢字を書いて、気をつけたことは、一画一画のすきまをそろえる事です。すきまをそろえる時にむずかしかった事は、文字の太さをそろえないと、一画一画のすきまがバラバラになってしまったので、そこをそろえるのがとてもむずかしかったです。次にうれしかった事は、いいのができた時に、達成感があったことです。一枚一枚できることが増えた気がしました。

 

広島市立亀山南小学校 六年
木原 端希さん

この度は、賞に選んでいただきまして、ありがとうございます。
「忠孝」は、どちらの字もバランスをとるのが難しかったです。特に、孝の子の部分がなかなか上手く書けず何度も練習をしました。先生に言われたことをよく聞いて、上手に書けたときは、とてもうれしかったです。
最後まであきらめずに練習をしてよかったです。
これからもがんばっていきたいです。

 

広島市立亀山小学校 六年
坂野 晴樹さん

この度は奨励賞に選んでいただきありがとうございます。ぼくが「忠孝」という字を書く時、一番難しかったのは「忠」です。線の太さを太くするところや細くするところがあるので、一画一画太さを気をつけて書きました。これからも一生けん命習字をやろうと思います。

審査評

広島文教大学
名誉教授 日比野 貞勝 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」においてご入賞、ご入選された皆様、誠におめでとうございます。長引くコロナ禍で作品制作は種々困難であったことと思います。先生からの指導や助言が得られにくい、また部活動も種々制限されるなどで、どこをどのように書いたら良くなるのかという、課題(めあて)の発見とその解決方法、また作品の吟味・判断など自身で行うということも多かったことと思います。応募された作品はそうした中、自ら課題を見つけ克服する意志と、創意・工夫とがそれぞれに凝らされていました。審査は筆使いによる美しさや力強さとともに、情感の充実度、心境や境地の崇高さという筆意も採点しています。上位作品は筆使いに優れ、且つその境地が高く、甲乙の判定には苦慮しました。賞に選ばれた作品は、“心手合一”“心手双暢”という孫過庭『書譜』の句や、「字の形に魂を入れるのは筆の勢いである。筆の勢いのもとは心である」と尊円親王『入木抄』のいうように、技と心とが一になって生き生きと運筆された一作一作で、見ごたえも十分な秀作です。
尚、コロナ禍の影響でしょうか、美しい線でありながら誤字に気づかず選外となった作品がありました。文字意識は重要です。漢字の構造をよく調べ、その上で表現の工夫をして作品化することが大切です。以下、入賞作品に寸評を記し審査評とします。

「頼山陽賞」松岡希彩さんの「忠孝」はこの語句に相応しい心と技と姿勢を象徴しているような秀作です。磨かれた筆使いと揺るぎのない筆運び、確かな構成、そして気構え・気力は傑出。線には澄み切った真剣な気持ちが溢れ、組み立て方には堅実な気構えが見て取れます。特に丹田から出てくるような起筆と運筆には目を瞠るものがあります。姿勢の良さや集中力、美しい感性が凝縮した作品です。

「広島県教育委員会賞」 礒川かえでさんの「修史偶題」の臨書は練度の高い線質と緩急に富んだ運筆が抜群です。また高い筆位(筆を執る位置)と懸腕直筆の堅持による結構、脈々とした行構成も秀逸。山陽の筆法や筆意、またその美に迫らんとする力作です。一心不乱に書かれた作、心境の高さと筆使いの巧妙さで味わい深い作品です。

「広島市教育委員会賞」中西智春さんの「浩然之気」は重厚且つ秀潤、充実感のあふれる秀作です。書き出しから落款まで力強い心意気と磨かれた筆使いでこの語句に迫っている。線は強く美しく生動し、余白とも照応・調和している。特に一字一字の緊密な結構と全体の統一力にはこの句に向かう姿勢をも想起させて、じっくり味わえる秀作です。

「福山市教育委員会賞」 松村美緒さんの「真」は気迫や意志そして集中力の溢れる見事な傑作です。特に一点一画の確かさや字形の緊密な組み立て方、更にその堂々とした全体構成は抜群です。余白にも緊張感がみなぎっています。線の強さ・美しさ・深さ、また結構の確かさには、平素の学びの努力や生活の姿勢も窺えます。

「熊野町教育委員会賞」榎本匡華さんの「忠孝」は懸腕直筆で気高い心境、書き始めから名前まで一心不乱に直く美しい線質で書き切った秀作です。特に「忠」の自律的な運筆による実直な線質と生気溢れる線と余白が抜群です。生動する筆使いや運筆の底流にワクワクさせる心意気・境地があります。筆意の優った作です。

特 選
尾畑 空さんの「癸丑歳偶作」は北魏の石刻書の切り削いだ書風で、詩意に迫らんとする力作です。特に起筆部と波磔部は筆法と筆意とが渾然一体となってその効を発揮している。緊密な結体、揺るぎのない行構成、整然とした布置に集中力の高さが見て取れます。
角嶋 優南さんの「山紫水明」は書き出しから落款まできっぱりとして美しい秀作です。大きな気宇、清澄な質感は句境をも想像させる。特に「山紫」は端正な起筆と生気溢れる運筆で構成され見事です。書の黒と余白の白とが照応して大変に美しい。じっくり味わえる秀作です。
木口 陽日さんの「忠孝」は意志と気力が筆端からあふれ、生き生きとした秀作です。特に集中力の高さと筆使いの巧妙さは見事。一点一画の確かさや、字形の組み立て方や均衡のとり方は傑出しています。基礎基本に裏打ちされ確かな芯や誠実な味があります。平素の学びや修練・努力、また姿勢が浮かんできます。

奨励賞
西川 結菜さんの「不識庵機山を撃つ図に題す」は北魏の石刻書の筆致「刀意」の効果を企図したのか、「恨」「磨」「剣」「見」字の起筆や筆勢に鋭利な趣が見える。北魏書の新派・旧派など結構の探求で更なる発展を期します。
森 美友さんの「癸丑歳偶作」は岩肌に字を刻り付けた「摩崖」の風趣を企図したのか、特に「史」「死」字は篆書の筆法が交えられ韻致が高い。遥なる気宇と活鋒の習熟とを期します。
吉川 紗矢さんの「郷に至る」は用筆の提按と運筆の擒縦の効果を企図したのか、「子」「暮」「市」字に骨力や律動、また韻致の効果が窺える。高度な技法です。さらなる研鑚と習熟を期します。
藤本 倖奈さんの「浩然之気」は大きな気宇、澄んだ心境、躍動感に溢れた力作です。特に抑揚豊かな運筆で、書き出しから名前まで貫通し、全体が一になって生動しており見事です。
加藤 唯愛さんの「山紫水明」は流麗な線質、生き生きとした筆脈、統一感のとれた作品です。特に「山紫」の部分は用筆法と筆勢に優れ、句境をも想像させる。余白も黒と照応して美しい。
伊谷 海栄さんの「唯真故新」は悠然とした気構え、滔々とした運筆、優美な作品です。特に「故新」は生き生きとした筆勢で疎密の均斉がとれた結構で見事です。
下島 紗良さんの「真」は堂々とした気構え、力強い運筆でバランスもよく取れた力作です。特に一画一画に向かう真剣さと、最後まで書き抜く集中力、紙面に向かう姿勢がすばらしい。
木原 端希さんの「忠孝」は力強く美しい一点一画、自律的な筆脈、緻密な組み立て、バランスにも秀でた作品です。特に確かな起筆、意気の溢れる筆勢、スキのない完璧な結構が見事。
坂野 晴樹さんの「忠孝」は丁寧でしっかりした筆使い、書き出しから名前まで堂々と書き進めた力作です。全体のバランスも良く取れており、意志・気力が筆端からあふれています。

その他、入選作にも優れたところが多々ありましたが、紙面の都合で省略します。頼山陽は詩や文章で一家を成した大先達ですが、書道においてもナンバーワンの大家でした。特にその書は詩文の境地と一体になった骨法・用筆と、颯爽たる気迫や筆勢、風韻、美しさに特徴があります。その背後には、驚くべき創意と工夫、吟味、思索があります。文学、学問によって鍛え上げられた人間の厚みがあります。頼山陽の足跡をたどり、倣い、さらに研鑽を積んで、また来年度も挑戦してください。

 

安田女子大学 文学部書道学科
教授 信廣 友江 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」に出品され、入賞、入選されたみなさん、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
今年も審査を通して心洗われる多くの作品に出会いました。袋町小学校の広い体育館に、応募された作品が学年ごとに間隔を開けてゆったりと広げられ、審査する私たちは、時間をかけて一点一点を丁寧に見ていきます。それは審査というより鑑賞会のようであり、真剣に書と向き合っているみなさんの姿を思い浮かべる心豊かな時間でもありました。その理由には、頼山陽の詩句を通して学んだ書が、書の優劣を競うというよりも、筆で文字を表現しながら山陽の詩句と語り合い、山陽の世界を体感しながら、心を込めて書き上げた渾身の作ばかりであったことが挙げられるかと思います。いずれも優劣をつけがたい立派な作品ばかりでした。

小学生の部は「真」「忠孝」の楷書表現が課題でした。バランスのとりにくい字形ではありますが、よく考えながら点画を組み立て、用筆の基本を確かめながら丁寧に書き上げていらっしゃったのが印象的です。みなさんの素直で伸びやかな線は魅力的で、頼山陽の気持ちも十分に表現されていたように感じました。

中学生の部は「山紫水明」「浩然之気」「唯真故新」という四字句が課題で、二、三年生になると課題は行書になってきます。難易度は増しますが、大きな呼吸で長半紙にゆったり書くという、貴重な学びの機会でもありました。作品はいずれも堂々として存在感があり、詩句の持つ風格もよく伝わってきました。

高校生の部は、山陽の詩句による創作または山陽作の臨書からの選択課題でした。今年は例年よりも出品作が多く、多様な表現がなされて見応えがありました。丁寧な臨書、伸びやかな創作、またこれまでに学んだ中国古典の書風書法を生かした作品など、高校での学びの成果も窺われて、大変頼もしく思いました。一方で、残念でありましたのが、多字数、また連続線を伴う草書表現等、高度な技法が駆使されるため、難読の文字や誤字になってしまった作品が何点か見られたことです。しかしながら、山陽の詩句を書くからこそ醸し出されるその世界観や書としての香りは、どの作品からも馥郁と立ち上がって、味わい深く思いました。ぜひ今後も研鑽を深められ、書写書道の発展を担うとともに、頼山陽を伝える一人になっていただけますと幸いです。

みなさんのますますのご発展ご活躍を期待いたしますとともに、本書道展を通して、これからも多くの方々が頼山陽に親しまれますよう願っています。

 

広島県立呉宮原高等学校
教諭 迫 眞一郎 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、ご入賞、ご入選された皆様、誠におめでとうございます。お祝い申し上げます。
この書道展への応募作品は、毎年レベルの高い作品が寄せられます。今年も、審査会を楽しみにしておりましたが、期待通りに、素晴らしい作品が数多く寄せられていました。

小学生の部では、基本に忠実な用筆に加えて、思い切りのよい運筆で線の充実している、生き生きとした作品が多くみられました。日頃から、皆さんが熱心に書の練習に取り組んでいる様子が、よく分かりました。

中学生の部では、楷書および行書の作品でしたが、どちらも書体の特徴をよく踏まえて、大らかに書字した作品ばかりでした。どの作品も書風が堂々としており、日頃の積み重ねがあってこそ、成果が表れているのだと思いました。長半紙に一行書きですから、課題文の各文字の画数による文字の大きさの違いを、違和感なく表現する事は、意外に難しかったと思います。レベルが高い作品は、その点を上手に表現していて、印象に残りました。

高校生の部では、課題は頼山陽の作品の臨書や漢詩の創作ですが、挑戦し甲斐がある内容です。特に臨書では、原本の筆路をよく観察して、誤字や脱字の無いようにしたいものです。出品作品は、概ねどれも書字は合っていましたが、数点、誤字・脱字を含む作品があり、それらは残念な結果になりました。

さてこの書道展は、今日の日本の礎を築いた先人たちの思いに触れることができる、よい機会です。この書道展を通して、書字の技法を高めると共に、自分たちの未来について考える、よい機会としてください。今後も、この書道展におおいに参加してください。

 

広島県立広島観音高等学校
教諭 伊藤 珠己 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、入賞・入選された皆さま、誠におめでとうございます。
応募作品を拝見する中で、課題の言葉としっかり向き合い、表現の方向性を定めながらしっかりと取り組んでおられる様子が目に浮かぶような思いをいたしました。

小学生の部では、どの作品も用紙に合った文字の大きさや配列で、一点一画を大切にしながら堂々と書かれていました。何度もくり返し練習された成果が発揮された作品ばかりで、感心いたしました。

中学生の部では、どの作品も課題の言葉をふまえ、卓越した筆づかいと均整のとれた字形、四文字を体裁よく収めた配列等、表現の効果を考えながら書かれていました。日頃から練習に励まれた成果が発揮された作品ばかりで、感銘を受けました。

高校生の部の「高校生課題」では、主に楷書、行書、草書、隷書を骨力のある線や抑揚の変化、流れの美しさ等、意図に基づいた表現を構想し工夫され、個性豊かに表現されていました。また、「高校生臨書課題」では、課題と向き合い、書体や書風に即した用筆・運筆、字形、全体の構成等を工夫され、課題を見事に表現されていました。両課題共に、日頃から書に親しみ、練習に励まれているからこその出来栄えに感銘を受けました。今後の参考までに、字典を用いる際は、引いた文字の中から複数の書きぶりや出典を参考にされると、誤字を防ぎ、筆路や抑揚等、理に適う表現になると思います。

作品の制作過程では、時にどのように書くといいのか迷うこともありますが、後に得られることも多くあったのではないかと思います。様々なことを乗り越えて出来上がった作品には、学書の過程での奮闘と作品に表出された個性がありました。本書道展において、素晴らしい作品に出会えたことに感謝いたします。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 谷﨑 栄子 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」に、多くの小・中・高校生からの応募がありました。作品からは、児童生徒のみなさんの書への真剣な思い、努力の跡が、作品の一点一画から伝わってきました。

小学校部門では、文字や全体のバランスを考え、ていねいな筆遣いの作品が多く見受けられました。どの作品も甲乙つけがたいものばかりでしたが、その中でも印象に残っているのは、始筆から終筆、止め、はね、はらい等、のびのびと気持ちの入った筆遣いをしている作品でした。

中学校部門は、楷書や行書、それぞれの書体の特徴をとらえた筆遣いがされていました。それらの中でも、「浩然之気」では、その言葉の意味でもある「この上なく大きく、強いさま」を表すような堂々たる作品、「山紫水明」では、「自然の景観の澄み切った美」を流れるような筆遣いで表現した作品、「唯真故新」では、「真似や嘘偽りを戒め、自分を飾らず、正直であること」を素直な筆致で表した作品と、それぞれの言葉のもつ意味に沿った表現が印象に残りました。

高校部門では、どの作品からも豊かな表現の工夫が読み取れ、日々研鑽を重ねておられることが感じられました。臨書課題では、書体の特徴を的確にとらえようと、墨の濃淡や線のつながりを研究されている姿が伺えました。創作課題では、詩の内容を踏まえた表現を工夫され、作品に込められた思いが伝わってきました。

いずれの部門も、優れた作品は、頼山陽の文字に込めた思いが書き手によって解釈され、表現されていたものであったと思います。毎年、作品を拝見するたびに、この書道展は頼山陽の足跡を多くの方に知っていただく機会になっているのだなと感じます。今後も、ぜひ多くの子供たちに、書道という伝統文化を通して広島ゆかりの頼山陽について学び、その詩文に触れてほしいと願います。

 

広島県教育委員会 義務教育指導課
指導主事 安達 裕 先生

第七回広島県公募書道展「頼山陽書道展」において、入賞・入選された皆様、おめでとうございます。昨年度の応募数より二〇点増え、今年度は一三二点の応募があり、また昨年度同様県外からの応募も多数ありました。多くの児童生徒がそれぞれの課題に一生懸命取り組まれたことを大変喜ばしく思いました。

小学校部門では、「真」と「忠孝」が課題でした。いずれの課題もバランスのとりにくい字形ですが、文字の大きさや配列などを意識し、丁寧に仕上げている作品が多くあるように感じました。その中でも、力強い線で表現された作品などが印象に残っています。

中学校部門では、「山紫水明」、「浩然之気」、「唯真故新」が課題でした。いずれも長半紙に四つの文字をバランスよく配列することがあり、かつ中学校第二・三学年においては行書という指定がありました。難しい課題であったと思いますが、力強さや雄大さが表現された作品が多くあり、日々精進されていることを伺うことができました。

高校部門では、創作課題と臨書課題がありました。小学校・中学校部門とは比べ非常に難しい課題でありましたが、それぞれの作品の芸術性の高さに感心しました。日頃からひたむきに書と向き合う真摯な姿を想像することができました。

今後も、この書道展を通して、多くの児童生徒が書の美しさを味わうとともに、郷土が生んだ頼山陽という先人の功績に触れることを願っております。

 

TEL (082)542-7022 9:00~17:00

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